北村早紀 "Holzwege" 展示作品
新シリーズ「I Will Sleep Later」ステートメント
シリーズタイトル「I Will Sleep Later」は、この世界におけるさまざまな命の、不可逆でありながら複合的・並列的に生じる明滅のなかで、何者かの未来の眠りを予感させる言葉である。ここでの眠りとは、死や終わり、あるいは次の始まりへ向かう直前の一区切りを指している。
また、個々の作品タイトルには、今回の渋谷PARCOでの展示テーマである「植物・自然」への応答として、植物を語源とする言葉、あるいは植物学上の語彙と意味を共有する人体の機能や部位の名称を引用した。
人間と植物は、進化のきわめて上流の段階でそれぞれの道を分けている。しかし私は、古写真に写る人々の姿に、自然の風景を眺めるときと同じような遠いさみしさや、あるいはそれに似た親密さを感じることがある。人間と自然が、クリプトクロムと呼ばれる青色光受容体をともに持ち合わせているように、私たちは同じ何かを内に抱えながら、それぞれに異なる世界を生きているのかもしれない。
制作過程と新シリーズに至るきっかけ
本シリーズを制作する直前に、偶然にも植物と人間を扱うZINEを制作していた。”go touch grass”ではネットスラングから引用したタイトルで、直視すべき現実を「草・自然(外の世界)」と喩え、それに基づいて複数の自然の中にいる人物の写真をピックアップしている。
今回もモチーフとして「自然の中にいる人物」が写る古写真を選んでいる。ここではZINEほどの皮肉めいた意味合いは含んでおらず、自然と人間との距離や画面内の視覚的融合、人間的な生命力から別離した被写体の自然的な要素が立ち現れることを意識しながら制作を行なった。





